大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(オ)589 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告人ら提出の上告理由第一点について。

遊興税は「料理店、貸席、カフェー、バー、旅館其ノ他之ニ類スル場所ニ於ヶル

遊興、飲食及宿泊ニ対シ……其ノ行為者ニ之ヲ課ス」(地方税法五六条ノ二)もの

であつて上告人らは納税義務者ではなく、同法三五条の特別徴収義務者である。徴

収義務者は納税義務者である客から遊興税を徴収して納入する義務ある者である。

納税義務者と徴税義務者のそれぞれ租税徴収権者に対する法律関係は全く別異のも

のに属する。従つて租税賦課に関する規定は当然には特別徴収義務者の納付に関し

ては適用されない。同法四一条で特に準用を要する規定を列挙しているのもこの故

である。もし所論のように考えるならば、右四一条は不要の規定となるであろう。

そして右四一条が同法二〇条を準用していない以上被上告人東京都知事が本件異議

申立を不適法として却下し、原判決がこれを是認したのは正当である。なお、所論

一、二のような事情があつたからといつて徴収義務者の納付金が法制上当然に直接

税に化するものとは考えられない。それ故原判決には所論の違法ありというを得ず。

所論は採用し難い。

同第二点について。

遊興税は、都税であり、その賦課徴収は東京都知事から新宿区長に移譲されてお

り、本件納付命令は新宿区長が行つたものであつて、同区長の処分である。従つて

本訴中遊興税額の変更を求める訴の被告たるべき者は行政事件訴訟特例法三条によ

り新宿区長であつて、東京都でもなければ、東京都知事でもない。所論は本件の場

合東京都も被告たる適格を有するものであると論じ、その証左として所論の如き事

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情を主張する。しかし、そのような事情があつたからといつて、東京都が本訴の相

手方となるものと解すべき法律上の根拠は見当らない。所論は専ら独自の見解の下

に原判決に法令違反のかきんあるものと主張するものであつて、採るを得ない。

同第三点について。

しかし、所論遊興税の徴収納入義務は東京都との間の委任関係に基くものではな

く、地方税法及び都条例の規定によつて当然に発生するものであることを一つの理

由として本訴中委任事務終了の確認を求める部分はその対象を欠き不適法であると

した原判決の判断は爾余の理由のせんさくをするまでもなく正当である。所論は右

に反する独自の見解を力説するだけのもので採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり決判する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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